それ、本気ですか?

みなさん、こんにちは。コアネット教育総合研究所の福本です。

コアネットでは、私学経営に関する様々な領域において、研究・コンサルティングを行っていますが、それと同時に、研究員それぞれが専門領域のようなものを持って活動をしています。
私は、僭越ながら「キャリア教育」「進路・進学指導」を専門領域として活動させていただいております。かれこれこの分野について研究・コンサルティングをさせていただいて4,5年になりますが、その間たくさんの先生方とお話をさせていただきながら、勉強してきました。

その取り組みの一貫として、私学マネジメント協会で実施する「研究会」として「キャリア教育研究会」というものを主導させていただいています。
約2カ月に1回のペースで研究会を開いているのですが、今日は参加校のひとつである桐蔭学園女子部で実践報告会を実施しました。

まずは、桐蔭学園女子部の取り組みを桐蔭の先生方にご報告いただき、質疑応答、そして意見交換という内容で進めました。

その報告の中で、印象に残ったキーワードがあります。それは、「本気」です。
桐蔭学園は、学習指導・進学指導に非常に力を入れている学校として有名です。かつては、まさに鬼のように勉強をさせる学校、というイメージがあったようですが、今は様々な角度からの教育活動を展開しながら総合的に生徒たちの力を伸ばしている学校です。
とは言え、それでも学習指導・進学指導にはとても力を入れていると思います。

その学校の報告の中で、「とにかく本気になって勉強に取り組んでみること。そうすることで、必然的に自分が本当に学びたいことが見えてくる。」という趣旨のお話がありました。

そして、同様にキャリア教育の文脈においても、「将来自分は何をしたいのかを本気で考えさせる指導が必要だ。」というお話でした。

これ、本当にそうだと思います。中高生にとって、例えば大学のその先の「就職」とかって、かなり距離感があると思いますし、想像するのも難しいことなのだと思います。実際、自分が中高生の時もそうでした。
だから、「将来像を描く取り組み」といっても、生徒はどこか「本気」になれないのかもしれません。
でも、それでは自分がしたいことは見えてこないのだと思います。

「分からない」「不安」「どうでもいい」
「本気」で考えようとしない理由はいろいろあると思います。そういう時に、私たち大人がどう対応するかが、キャリア教育においては大事なのではないかな、と思うのです。将来を考えるための仕掛けを作ったり、生徒の話をじっくり聞く時間を設けたり、そういったことが各校のキャリア教育で実践されているのだと思います。

そして、もうひとつ。社会の「現実」を10代の子どもたちに見せるのは酷だ、とかきれいごとを言うのではなく、そういった部分も正直に伝える勇気を持ち、大人たちも本気で子どもたちの将来に向き合っていくという姿勢がなければ、子どもたちも自分自身の将来を「本気」で考えないのではないでしょうか。


そういえば、私の人生に大きな影響を与えてくださっている中高時代の恩師は、「普通」の大人がお茶を濁して伝えようとしなかったことをも伝えてくださり、「本気」でかかわってくださっていたな、ということを思い出しました。
あの頃は、「キャリア教育」なんていう言葉すらありませんでしたが、そう考えると、キャリア教育プログラムと同じように、私たち大人の「本気」さもまた、非常に大切なものなのかもしれませんね。

またひとつ、勉強になりました。